参禅者の声

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N.T さん

「思いやり」と「優しさ」と「慈愛」に満ちていました

私にとってテンプルステイでの体験は、人生でかけがえのない素晴らしい体験になりました。 私がテンプルステイに興味を持ったのは、日本人としての本質を知りたかったからです。 我慢、忍耐、鍛錬、空気を読む、他人に迷惑をかけない、氣配り、同調圧力、みんな一緒・・・現代では敬遠されがちなこれらの思想の原点を感じました。
その本質は、現代で感じている息苦しさとは真逆で、とてもとても、「思いやり」と「優しさ」と「慈愛」に満ちていました。 昭和の時代も、平成の時代も、令和の今も、根本の「慈愛」が欠けた状態で言葉だけが表面的に体系化されている事で、色々な不調和が起きていると感じました。テンプルステイで学ばせて頂いたのは、「待つ事」「型を守る事」「自分の中の最善を尽くす事」「無理をしすぎずしっかり休む事」「ぶつかり合わないように柔の心で受け止める事」「怒ると叱るの違い」「物事、他人、自分をよく観察する事」「思いやりを持つ事」「相手に敬意を払う事」「全てのお作法に、感謝の意がある事」「全ての動きに、無駄が無い事」「日常の中で足腰をしっかり使う事」・・・等々、細かく書けばキリがありません。そして、一番の学び、お手本になったのは内弟子さんたちの存在です。
たった数人で大人数の大人を指示していかなければならない事、とても大変だったと思います。その中で、作業のご指導はいつも丁寧で、こちらへの気遣いを忘れない言葉を一語一語選んで頂き、いつも即座にその状況において適切な判断をされていたと感じます。完璧では無くとも一生懸命に最善を尽くそうとしてくれている内弟子さんの姿が、一番の勉強になり、自分も、人に対してこうありたい、こうあれる努力をしていきたいと思いました。
人に伝える事、教える事、叱る事、すべてにおいて、相手への尊厳を持って、感情では無く思考しながらきちんと伝えるという能力の欠如が、現代の負の連鎖を引き起こしていると思いました。
また、お作法の中で「自分が出す“音”に注意する事」と教わり、食器の扱い方や食べ方、歩き方など、全てに精通する事と、そこに意識をすると、とても丁寧な動き、感覚、時間を過ごす事が出来ると感じました。

また、大愚和尚様に、心と身体の使い方のご指導もして頂けた事で、「目の前の敵が邪魔してきても、自分の大きな目的に意識を持てば簡単に払いのける事ができる事」「目の前の事に集中する事で、外からの攻撃は気にならなくなる事」「力まかせに戦わず愛を持って引き寄せる事」を体感し、心がどれだけ肉体に影響しているのかが具現化して見えた事も、とても貴重な体験と知識になりました。
盛禅洞奭和尚様のご命日追善法要にも参加させて頂き、大愚和尚様のお話を聞く事ができた事、テンプルステイ終了後にご縁日も参加でき、そこで吟心英幸さんの座禅会にも参加させて頂き、個別にお話しもできた事、全てのスケジュールが本当に夢のような時間でした。

帰宅してからは、翌朝からお掃除に気合が入り、普段掃除しない所まで隅々気になり、雑巾掛けをしました。毎日唱えていたお経が癖になり、時間を見ては唱えるようになりました。
食事はゆっくり時間をかけて、お作法も意識しながら食べるようになりました。
翌日甘いものを食したら、少し胃もたれを起こすのがわかり、身体に必要ないのだなと感じました。
道を歩いていても、階段を上っていても、座っていても、背筋がピンと張る心地よさを感じっるようになりました。
1週間毎日の習慣にすると、こんなに違うのだなと思います。

対人関係においても、今後は、相手への敬意、言葉の選び方、引き寄せ方、自分自身の在り方、常に意識いて思考していく事が出来ると思います。

大愚和尚様をはじめ、直接ご指導頂けました内弟子の皆様、お食事の準備や私たちを受け入れるご準備を頂きました福厳寺の皆様、ここでの学びは一生忘れません。本当に貴重な体験を、どうもありがとうございました。