参禅者の声

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那須ちさとさん

毎日反省と1ミリの進歩を繰り返しながら、また前に進んでいきたいと思います。

「言われやすい人になりなさい」と、住職がよく仰っているかと思います。私自身、年齢を重ねるごとに、自分の至らない点を指摘されることが滅多になくなってきました。また、日々の生活のなかで立ち止まって自身の内側に目を向ける時間も機会も、あまり持てていないと思います。特にここ数年は、自分の悪習慣が澱のように積み重なって人間関係に影響を及ぼしていると感じていました。私が福厳寺のことを知ったのは丁度3ヶ月前、改めてそのことに直面していたときで、3ヶ月後にまさか現地に足を運びテンプルステイに参加させていただくことになろうとは想像もしていませんでした。今回の参加は色々な偶然が重なり叶ったことだと思っていましたが、心の奥底で自分の悪しき習慣に気づき変えていく機会を探していたのだと思います。
期間中は、(僧侶のみなさんの日常には遠く及ばないですが、普段の自分の生活からすれば)過酷な環境で、頭では分かっているが体がついていかない、違和を感じる状況でどう反応すべきか判断がつかない、規律の制約から「巧み」でない状況を生み出してしまっても正すことができないまま次に進まなくてはならない、といった経験をしながら、この6日間では何も変えることはできないのではないかと思ったこともありました。そんななか、「できないのが良いです。できないから良くなっていくんです」「できなくても、毎日続けていくとできるようになります。とにかくやめないことです」と声をかけてくださった僧侶の方々のお陰で、最後まで間違えてばかりでできないことだらけではありましたが、1ミリほどの変化や進歩の兆しも、大切に受け止められるようになったかなと思います。また、思いもよらない愛語によって気づきをくれたり、毎日宿泊施設で私の徒然なる懺悔を大笑いしながら聴いてくれたりした仲間たちの存在も、とても大きなものでした。彼らとの出逢いや、僧侶のみなさんからの指摘や言葉は、私の新たな宝物です。帰宅してから、期間中に履いていたズボンから見慣れた砂利が出てきました。境内を駆けずり回っていた日々がすでに懐かしいです。
最後に僧侶の方が「明日からが本当の修行です」と仰ったのですが、日常生活に戻り次の日から急に悪習慣が消えて別人のようになる、ということは当然ないですし、実社会ではテンプルステイの参加者のように仏教に関心を持ちその実践を目指しているような人はかなり稀だと思います。住職の「ここで経験したことは帰ってから活きてくるんです」という言葉を胸に、毎日反省と1ミリの進歩を繰り返しながら、また前に進んでいきたいと思います。
このような機会をくださり、ありがとうございました。