O.Kさん

- “自分中心に考えていた自分に気づかせてくれる場” だったと感じています。
夢のような時間でした。間違いなく、自分が変わりました。
佛心僧学院を受講し、仏教を実践したいと思い意を決して参加させて頂きました。礼儀作法・時間厳守・返事ははっきり大きな声で、など体育会系の部活動に入ったような厳しさがあり、参加前にもっていたイメージとの違いに始めは戸惑いましたが、動作を一つ一つ丁寧に行う、全力で行う、という生活をする中で、これまでの生活では感じえなかった充実感を味わうことができました。今、テンプルステイを終え一週間が過ぎましたが、この一週間はテンプルステイ中に培った感覚や意識が薄れていくことに寂しさと危機感を感じるとともに、日常の騒々しさ、情報の多さに戸惑いを感じる日々でした。
改めてテンプルステイを振り返ると、「健全な自己否定の場」とでも言うのでしょうか、“自分中心に考えていた自分に気づかせてくれる場” だったと感じています。私は仕事柄調整役が多く、自分が主張するより調和を優先するタイプであり、自分自身を協調性があると捉えていました。しかしながら、テンプルステイでの「徹底的に回りに合わせる」という生活をする中で、これまで周りのためだと思っていた行動が実は自分のためだということに気づかされました。屋外での作務にて、効率の良さそうな別の作業の仕方を提案したということがあったのですが、指示された方法でやりもせずに具申したことに対して、「やりたい・やりたくない」「好き・嫌い」というものがあることに気付いているか、というご指摘を受け、ハッとされられました。良い悪いではなく、私の行動原理には、状況をこう変えたいという強い欲求があるというこちに気づかされました。この「好き嫌いで考動(考える・動く)しない」ということは今の日常の生活、仕事にもそのまま活かせることであり、今後の行動指針と一つとなりました。テンプルステイで学んだこともうひとつを挙げると、「姿勢を正すことの大事さ」です。お寺での生活の中で、礼拝や歩き方、話すときの姿勢はとても重要で、その姿勢と思考が密接に繋がっていることも学び、実感しました。特に心に残っているのは次の2点です。まず、「胸を張ること」。胸骨柄(胸の中央、ウルトラマンのカラータイマーの場所)を斜め上に向けること。これは坐禅の時だけでなく、日常の動作でも大事だということを教えて頂きました。例えば失敗や間違いをしてしまった時、人目に触れたくない時に、どうしても肩をすくめて小さくなってしまいますが、これは自分を小さくする行為で、自立とは反対の行為になるとのことでした。自分をしっかり保つには、これは欠かせない姿勢とのことです。つぎに、「頭をしっかりと下げること」。低頭や礼拝の動作にて、相手に対する感謝や敬意を表すために、きちんと頭頂を向ける(差し出す)ということを指導頂きました。実際にやってみると始めは違和感があり、これまで生きてきた中でしっかりと頭を下げるということがなかったと気づかされました。
テンプルステイで得た感覚を忘れないようにと、この1週間、日常でもこの姿勢を意識して行ったところ、仕事相手や家族に対して感謝と敬意の気持ちをこれまで以上に持つことができ、また、下手にすり寄らずに必要なことはきっちりと言えるようになっているのを感じました。周囲にも良い変化が表れているのも感じ、その変化にとても驚いています。その他にも、声を出すことの大切さや、健康を維持するための生活習慣、時間の使い方など様々なことを学びました。佛心僧学院での講義は「世の中への見方と考え方において自己の変容を実感する」、素晴らしいものでしたが、テンプルステイは「日常において自分が変わったことを体感する」という、違う観点で大変素晴らしい経験でした。
改めて、今回受け入れて頂いた僧侶の皆さま、スタッフの皆さま、素晴らしい体験をさせていただき、本当にありがとうございました。