参禅者の声

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T.Cさん

これまでの日常で、如何に物事や人に対して丁寧に向き合っていなかったのかを思い知らされました。

行きたい。今しかない。その思いに突き動かされ、勇気を出して申し込みました。これまで人間関係の煩わしさから極力コミュニティを避けてきました。人によって傷付き人によって救われる事は確かで、どのみち集団も孤独も意のままにはならず、我がままにはならず。積年の偏向した思い癖から、心身の不調を抱えていました。

テンプルステイに於いて、慈愛ある人間関係と健康的な環境に守られて、修行の厳しさに息切れしながらも、何かを捜し求めたい一心で真摯に臨みました。
これまでの日常で、如何に物事や人に対して丁寧に向き合っていなかったのかを思い知らされました。自らの真正面にどーんとエゴを立ちはだからせて、自己防衛。他人と比較し、無意識に優劣上下の階級付けをし、傲慢になったり卑下したり。
そんな陳腐な繕いを見透かすように、まだお若い内弟子さん方が、間違った所作や発言に注意を下さり、沢山の気づきを促し、「いま」ではないどこかへ浮遊している意識を常に「ここ」へ引き戻して下さいました。

時間の大切さ。逃すことの出来ない一瞬をしっかり意識すると流れるように繋がっていく。
自分と他人と周りがどんどん繋がっていく感覚。調和。つまらぬエゴなど邪魔なだけ。そんなものが湧きあがる時間も無駄。頭の中でぐるぐる考えるより、身体を動かすと後からきちんと解ってくる。
無意識の領域から本能剥き出しで感情的になるより、謹んで慈悲と智慧と仏性を。

下山後は混沌とした日常生活に戻り、自分を律していないと怠慢や悪い習慣の誘惑に負け、直ぐに崩れてしまいそうなので、こまめに軌道修正する為にも佛心宗の教えを学ぶ必要性を感じています。

このテンプルステイは、寺内の全ての人、生命体、魂の善業が循環する構造に作られていて驚嘆させられます。
慣れない床や畳の雑巾掛けは筋肉との戦いだったけれど、日を重ねる毎に上達していく事が嬉しかったです。東司清掃で誰かの為を想い、草取りで巡る命を想う。
ごみ拾いはこれまでの人生に撒いてきた自分や誰かの悪や罪を拾っていくと思うと、スーッと心が落ち着いていくのでした。
砂利をばらまいて道路を作っていく土木作業、あきば大祭の準備など皆で協力して進められた喜びがありました。
典座の準備も楽しかったです。とても美味しく健康的な精進料理のレシピを是非教えて頂きたいです。
そして一番ダイレクトに心身に響いた時空間は、朝課でした。
本堂にて楽器と声が何重にも重なって拡がっていく、伝播していく。静と動が交差する。美しくも荘厳な宇宙的な一体感を味わえるライブのようでした。
テンプルステイ期間は、スマホ中毒で麻痺していた五感を刺激し気づきを頂く機会がたくさんありました。
自然豊かな福厳寺の境内の植生、空、土、水、光、動物。
ながらスマホでは、これ程感覚は鋭敏にはならなかったことでしょう。
コンプライアンス遵守の個人に過保護な時世だからこそ、慈悲ある厳しい導きや愛語が必要、仏の教えを指標として、戎に則った行動をしていきたいと思いました。
素晴らしい体験をありがとうございました。
合掌。